午前3時、先生のカオ。








 冷たい秋の風に吹かれながら、帰り道を歩く。





 今までの日々はまるで、夢のようだった。

 だって、突然やってきてあっさりと去って行ってしまったから。



 現実なのに、現実のはずなのに。

 夢の中での出来事、で納得出来てしまうようなものだった。


 終わってしまえばもう、足跡さえ残っていない日々で。





 ………だけど。


 玲汰先生と過ごしたこの日々は、決して無駄ではなかったと思う。

 別になにかが変わったわけじゃなかったけど、大切な大切な日々だった。





「……あーあ、ありがとうぐらい、言えば良かったかなぁ」



 玲汰先生といたあの場所は、逃げ場でもあり癒しの場でもあった。


 だけど、何故だろう?

 それだけじゃなかった気がする。


 あの場所、じゃなくて……。

 玲汰先生が、あたしにとってなにか特別な存在だった気がする。



 分からない。


 だけどもう、あの玲汰先生と関わることはないだろうから。

 いつか消えていく感情だろうな。


 ああ、なんか切ない。

 自分から終わりを告げたくせに。


 でもこれも、いつか消えるから。

 その時を、待とう。