冷たい秋の風に吹かれながら、帰り道を歩く。
今までの日々はまるで、夢のようだった。
だって、突然やってきてあっさりと去って行ってしまったから。
現実なのに、現実のはずなのに。
夢の中での出来事、で納得出来てしまうようなものだった。
終わってしまえばもう、足跡さえ残っていない日々で。
………だけど。
玲汰先生と過ごしたこの日々は、決して無駄ではなかったと思う。
別になにかが変わったわけじゃなかったけど、大切な大切な日々だった。
「……あーあ、ありがとうぐらい、言えば良かったかなぁ」
玲汰先生といたあの場所は、逃げ場でもあり癒しの場でもあった。
だけど、何故だろう?
それだけじゃなかった気がする。
あの場所、じゃなくて……。
玲汰先生が、あたしにとってなにか特別な存在だった気がする。
分からない。
だけどもう、あの玲汰先生と関わることはないだろうから。
いつか消えていく感情だろうな。
ああ、なんか切ない。
自分から終わりを告げたくせに。
でもこれも、いつか消えるから。
その時を、待とう。


