あの日、玲汰先生の家で写真を見てしまった日から、もう2週間が経った。
秋の風が少し肌寒くなってきた11月の初め。
あの日からも変わらず玲汰先生の家に通っているけれど、心の中はいつも黒い雲がかかっていた。
何度も聞こうとした。
気になって仕方がなかったから。
だけどその度に、玲汰先生の悲しそうな顔を思い出し、中々聞くことが出来なかったのだ。
「……はぁ」
パジャマ姿の自分を、自分の部屋の鏡で見つめる。
気になって仕方がない。
でも、聞けない。
あの時、写真なんて見なきゃよかった。
なんて、今更になって後悔している。
ベッドに入っても、一緒だった。
あたしの頭の中は、写真に写っていた女の人の顔でいっぱいだった。