あたしはそれを、見入るように見つめた。
「写真だ……」
写真に書かれている年を見るに、この写真は今から10年も前に撮られたものだった。
そこには、学校で見せるような、いやそれよりももっと優しい笑顔の玲汰先生。
そして、隣には長いストレートの黒髪がよく似合う、綺麗な女の人が笑っていた。
二人ともまだ高校生なんだろう。
ブレザーを嬉しそうに身に纏い、賞状を手にしている。
そんな二人の後ろの桜がまるで二人のことを祝っているかのように咲き誇っていた。
きっとこれは、入学式の写真。
数えてみると、今から10年前の玲汰先生は16歳だし。
玲汰先生の、知らない過去。
何故今、こんな写真が出てきたのだろう。
今まで何度この家に来ていても、机にこんな写真が飾られていることはなかったのに。
ということは、このテストの解答用紙だと思われる紙の中に入れていたということになる。
玲汰先生は、この写真を大事に持ち歩いているってことだよね?
あたしはそっと写真を指でなぞった。
玲汰先生にとって、この女の人はどんな存在なのだろう。
そんなこと分からないけど、きっと大切な存在なんだろうな。
そうじゃなきゃ、写真なんて持ち歩かないだろうし。


