午前3時、先生のカオ。







 なにもないのに進路相談室に呼ばれるのは大抵良いことじゃない。

 怒られたりするのがほとんど。

 しかも、鍵がなくて落ち込んでたし。


 それなのに、嬉しそうな千夏。



「へへっ、鍵が見つかったんだ」


 千夏は満面の笑みであたしに鍵を見せる。



「あっ……」


 それは、今朝宮城先生が持っていた鍵と全く一緒だった。

 ピンク色のクマのキーホルダーの形や大きさ、格好まで。



 でも、宮城先生は俺のって言ってたよね……。



「ね、ねえ、もしかしてそれで呼ばれてたの?」



 千夏にそう聞くと、千夏は目を泳がせながら、

「違うよ?帰りに鍵が置いていないか職員室に行ったの。そしたら見つけて」


 千夏?なんで、目を合わせようとしないの?



「じゃあ、なんで呼ばれたの?」


 なにかを察し始めている自分を止めるための言葉だった。

 でも、それで突いた核心は、正反対のものだった。




「……まあ、色々と?それよりさ、お腹空いたーっ!あれ?もうほとんど食べ終わってるじゃん。待っててよーっ」



 曖昧な答え。明らかに濁した言葉。

 話を不自然に変えたこと。

 見え見えな作り笑いに、あたしと全く合わせようと目。

 千夏らしくない話し方。テンション。


 全てが、嘘を物語っていた。