なにもないのに進路相談室に呼ばれるのは大抵良いことじゃない。
怒られたりするのがほとんど。
しかも、鍵がなくて落ち込んでたし。
それなのに、嬉しそうな千夏。
「へへっ、鍵が見つかったんだ」
千夏は満面の笑みであたしに鍵を見せる。
「あっ……」
それは、今朝宮城先生が持っていた鍵と全く一緒だった。
ピンク色のクマのキーホルダーの形や大きさ、格好まで。
でも、宮城先生は俺のって言ってたよね……。
「ね、ねえ、もしかしてそれで呼ばれてたの?」
千夏にそう聞くと、千夏は目を泳がせながら、
「違うよ?帰りに鍵が置いていないか職員室に行ったの。そしたら見つけて」
千夏?なんで、目を合わせようとしないの?
「じゃあ、なんで呼ばれたの?」
なにかを察し始めている自分を止めるための言葉だった。
でも、それで突いた核心は、正反対のものだった。
「……まあ、色々と?それよりさ、お腹空いたーっ!あれ?もうほとんど食べ終わってるじゃん。待っててよーっ」
曖昧な答え。明らかに濁した言葉。
話を不自然に変えたこと。
見え見えな作り笑いに、あたしと全く合わせようと目。
千夏らしくない話し方。テンション。
全てが、嘘を物語っていた。


