「すずちゃん先生ー、宿題ー」
職員室に入ってすぐの所で数学担当の教師を呼んだ。
まあ、生徒は先生の机まで行ったらいけないっていう決まりがあるしね。
「おお、ちょっと待って」
なんて声が聞こえる。
あたしは足元をじっと見つめながら数学担当の教師を待っていた。
「おお、河野」
そんな驚きが混じったような声が前から聞こえ、驚いて顔を上げる。
「ああ……宮城先生」
そこには、担任の宮城玲汰先生がいた。
宮城先生はニコッと笑う。
「おはよう。どうしたんだ?」
「えっと…鈴木先生に用があって」
「すずちゃん先生じゃなくていいのか?」
あたしが数学担当の教師を呼んでいたのを聞いていたのか、からかうように宮城先生は言う。
「……聞いてたんですね」
「まあな」
ははっと笑う宮城先生。
ー・・胸の鼓動が、速くなっていく。
ふと視線を下げた先、宮城先生の手になにかが握られているのを見つけた。
手の隙間からピンク色のクマの顔が見える。
「それ……」


