どうやら、お母さんが残業をしたようだ。
お母さんの職場は確か五時から残業だったから……まあ、あり得る。
にしても、二人が残業はしないと決めていたのは、初めて知った。
ずっと気になっていたことだったから、もっと聞いていたくてその場に留まった。
「だけど、少しでも残業は残業だ!」
「……なによ。別にあたし達が夏希を殺したわけじゃないのよっ!」
ピクッと、体が反応した。
聞かなければよかったと後悔する。
だって、その言葉は「千夏が殺したんだから」という言葉に繋がっている気がしたから。
ああ、すごい泣きそう……。
胸が、心が、また、痛くなる。
抉られる。抉られる。
呆然とその場に立っていると、リビングのドアが開いて中からお母さんが出てきた。
「あっ……千夏」
「…………。」
お母さんと目が合う。
お母さんは、少し泣いていた。
あたしのせいだ。
あたしのせいだ。
そうやってこれ以上自分を責めたくなくて、お母さんから視線を外した。
するとそれを見たお母さんが、
「……元はと言えばあなたのせいよ。最低」


