「……なんて、こと」
お母さんはそれだけ口にすると、涙を目から落とした。
そんなお母さんを見ても、あたしは顔色一つ変えない。
どんな顔をしたって、夏希には届かないから。
どの感情を露わにしても、きっと誰にも納得してもらえない。
どの感情も、殺人者のあたしには似合わないのだ。
そんなあたしにお父さんは、
「……出て行け。お前のせいで夏希は死んだ。…お前が、殺したんだ。お前なんて、家族じゃない。もう、お前は要らない。早く、出てけ」
それは、本心だったんだと思う。
『お前が殺した』
『お前は要らない』
その通りだった。
あたしを見る父の目が、あたしの心を抉った。
母の泣き声が一瞬止み、立ち上がったあたしを見た。
その目もまた、憎しみで溢れていて、あたしに突き刺さる。
グッと拳に力を込めた。
泣かないように。悲しまないように。
「……さようなら」
あたしはそれだけ言うと、家から飛び出すように出て行った。


