俺は夢の中にいるかと思った。

奈々は確かに「先輩。」と言った。

頭に血が登った。

言っていることがどこかおかしいが

俺を認識しているのがわかった。

「奈々。」

ためらいなく俺は彼女を抱きしめた。

「会いたかった。こうして抱きしめたかった。」

彼女はまたもおかしなことを言った。

「先輩?大丈夫ですか?」

「あぁ、大丈夫だ。もう少しこのまま。」

「はい。」