今日土曜日は定時に切り上げて

品川から新幹線に乗り

奈々の病室へすっ飛んで行くつもりだ。

夕方5時近くになって

ラボの久保主任に呼ばれた。

「笹尾くん、最近変よ。何かあるなら言いなさい。」

「全く問題ありません。」

俺は平然と答えた。

「リーダーが重荷なら考えるわ。」

「重荷だと思ったことはありません。」

「それならいいけれど。毎日残業しているわよね?」

「はい。」

「今日は定時に上がりなさい、必ず。」

「はい。わかりました。」

「それからラボへ戻る前にこの資材を取って来てもらえるかしら?」

「わかりました。」

俺は奈々が出勤していることを知らなかった。