数日後、こんな夢を見た。


ぼんやりとした街の風景の中で、剛は女と歩いていた。ふたりは腕を組んで密着していた。女は笑っていた。剛も笑っていた。場面が変わって、夜の港。剛はその女と口づけをかわしていた。さらに場面が変わって、ふたりは布団の中で抱き合っていた。剛は荒く呼吸し、女は小さく喘いでいた。ふと、女の声がやけに低いことに気がつく。


剛は女の顔を見た。


その顔は、化粧をした自分である。


しかし、剛はあまり驚かない。それどころか、いっそう強く女を抱きしめる。