それから、
 私と彼は北海道に戻る。
 一から始まった彼との生活。
 そこにあるのは幸せ。
 それだけ。
 私は幸せ。
 絶対。
 彼は毎日仕事に出かけ、私はそれを見送る。そして掃除。不慣れな私は家の中を掃除するだけで一日が終わる。すべてが片付いたころに彼が帰宅。それから、彼と私は一緒に買い物に出かける。アパートに帰ると彼と私は食事を作る。狭いキッチンに一緒に並んで、ときどき肩をぶつけ合って夕食を作る。
 毎日がそんな感じ。
 何処でもある普通の光景。それでも彼と私は幸せ。
 一日一日がゆっくりと、そして、すぐに過ぎていく。
 朝はは少しずつ暖かくなって、
 夏は涼しくて、それでも窓を開け、彼と星を見て、
 秋は寒くて、すぐに雪がちらつき始めて、彼と肩を寄せ合って、
 冬は雪が積もって、毎日雪かきをして、一緒に汗をかいて、
 そして、遅い春がきて、遅い桜を二人で見て、
 そして、そして、
 そして、