帰路を歩いていると、背中から小さな寝息が聞こえた。
寝ちゃったか……。
さっきまで寝てたのによく寝れるよね。
家の扉の前に着くが、鍵を開けようにも両手がふさがっていて無理だ。
山瀬さんを起こすか?
でもなんか可哀想だし。
そのとき、誰もいないはずの家から人が出てきた。
「あら、藍くんおかえりなさい。って、瑠璃どうしたの?」
山瀬さんのお母さんだ。
「学校で階段から落ちて足を捻って歩けないみたいなんで。」
「か、階段から!?大丈夫なのかしら…。」
あたふたとする山瀬さんのお母さん。
「今は寝ちゃってるみたいなんで。部屋に連れて行っておきますね。」
「瑠璃をお願いね。あの子前ね、崖から転げ落ちたことあるのよ……。だから心配で。」
崖から___!?
階段なんかよりもすごい。
下手したら死ぬかもしれないんだから。
それを経験してるなんて、山瀬さんは凄い気がする。


