クールで不器用な君。






「あ…そっか。」




今思い出したというような表情をする山瀬さん。




「歩ける?」




「うん。平気平気!」




そういってベッドから立ち上がろうとするも、やはり足を痛めていたのか山瀬さんは俺の胸な倒れた。




「大丈夫じゃなかったや…あはは。」





「はぁ…。とりあえず靴箱までは行こ。」




「うん。」




シャッとカーテンを開け、デスクに向かっていた保険医の先生に一言いい保健室から出た。




支えながらも靴箱まで辿り着いた。





「そういえば鞄教室じゃ…」





「それならさっき持ってきたからここにあるけど。」





自分の鞄をかけている反対の肩を山瀬さんに向ける。






「......ありがとう。」





「んじゃ、おぶっていくから乗って。」





しゃがみ、抱える体制をすると後ろから垢抜けた声が聞こえた。




「へ?」






「足を痛めてるでしょ?だから無理しない方がいいし。」





「いや、でも…私重いし?」





「とりあえず乗ってくれない?」





この格好って意外と恥ずかしいんだけど。





「は、はい。」





遠慮気味にもしっかりと肩を掴まれ、そのまま立ち上がる。





人がいる感覚はあっても山瀬さんは軽かった。





「重く…ない?」





「全然。むしろ軽いんだけど。」





「嘘だぁ。」






「いや、嘘言ってどうするの?本当なんだけど。」