クールで不器用な君。


昼休み、私は雄太くんに呼び出されていた。


場所は校舎裏。



「雄太くん、どうしたの?」



ずっと黙っている彼に声をかけると、口を開け何か言葉を発そうとしていた。



「……今回のテストでもし全教科80点以上取ったらで、デートしてくれないかな?」



「へ…?で、デート…?」



真っ赤な顔で頷く彼。



それを見ると冗談じゃ無いことが分かる。


「もしダメだったら俺、瑠璃ちゃんのこと諦める!瑠璃ちゃんに近づきもしない!ってな駆け引き、どう?」



私を諦めるというのがよくわからなかった。



それに、近づかないって………そこまでするほど本気だってことなのかな。




「い、いいよ。」




何を思ったのか、私はOKを出していた。




裕美ちゃんから聞いたけど、雄太くんは前回のテストで赤点を取っていたとか……



だから、80点を取るだなんて、出来るのか。



「マジ!?よっしゃ!俺頑張るよ!」




どうやら今の返事で、彼の何らかのスイッチをONにしてしまったようだ。



雄太くんはやる気満々に走り出して行った。