寝起きでだるい体を起き上がらせる。
「二人は?」
佐伯と真中ってやつがいなくなっていることに気づく。
「二人は帰ったよ。」
「ふーん。」
しばらくすると山瀬さんは何か気づいたかのように顔をはっとさせた。
そして手が伸びてきた。
その手は頭にたどり着き寝癖を直すかのような仕草をした。
「七瀬くん、寝癖ついてる……。なんか、かわいいね。」
「……はい?」
「ご、ごめんっ。」
ぱっと離れて行った手が名残惜しいと思ったのはその手つきに憶えがあったからだ。
「部屋戻る。」
いつの間にかかけられていた布団を剥ぎ山瀬さんの部屋から逃げるかのように出た。


