クールで不器用な君。


少ししてから始まった勉強会。



「皆何の教科が得意?俺全部ダメなんだよなー。」



「あたしは化学なら。」



「私は英語と古文かな。」



「俺は……」



「お前は全教科出来んだろ。」



「ってことは、あたしたちが順番に佐伯に教えればいいって訳ね。」



「そうだね。順番になら自分が教えてもらう時間もできるしね。」



まず初めに私が教えることになった。




「雄太くん、分からないところってどこ?」



「いや、もう英語は全てがダメ。」




「なら、まずはここからやろっか。」




「はいっ、瑠璃先生!」




「先生なんて、恥ずかしいよ。」




「今は、俺にとっては先生だよ。」




と、英語を一から教えて、そのあと古文を少しだけやって裕美ちゃんにバトンタッチ。


私は苦手な数学を重点的にやろうかな。



問題集を開き問題を解いていく。



……あれ、これってどの公式使えばいいんだっけ。



「それなら、(ax+b)(x+b)=acx2+(ab+bc)x+bdってので…」



なっ、どうして七瀬くんはそうすらすらと公式を言えるんだ。



「七瀬くん、何言っているのか、さっぱり分からないのですが……」



七瀬くんはベッドの上から降り私の隣に来るとシャーペンを奪いノートに公式を書きちゃんと分かるように教えてくれた。



「で、ここに代入すれば解けるはずなんだけど、どう?」



「おぉ、解けた……。七瀬くん、ありがとう。七瀬くんって教えるのも上手なんだね。尊敬しちゃったよ。」




「別に……」




「あれれ〜。お二人とも妙に仲が宜しいご様子で。」



向かい側からニヤニヤと視線を送ってくる裕美ちゃんと雄太くん。




「七瀬ー!瑠璃ちゃんから離れろー!顔とか近過ぎなんだよー!」



「あ、ごめん。」



七瀬くんは再びベッドに寝転がった。