クールで不器用な君。



駅に着き時計をみると10時まであと10分だった。



駅前の時計台の下に座って携帯をいじっている雄太くんの姿があった。




「雄太くん!」




「瑠璃ちゃん!」




「遅れてごめんね。」




「ううん。大丈夫。」




「行こっか。」




隣に並んで歩き始めた私たち。




今考えれば雄太くんと二人っきりになるのは初めてかもしれない。




全く会話がない。



なんだか気まずいなぁ……



「瑠璃ちゃん。」



先に口を開いたのは雄太くんだった。



「え、は、はい!」



「ははっ、何で敬語?」



「あはは〜。」



「瑠璃ちゃんって好きな人とか居たりするの?」



「好きな人…?恋愛の?」



「そう。LikeじゃなくてLove。」




そう言われて思い浮かぶ人は居ない。



つまり好きな人は……



「いないかな。」




「よしっ。」



小さくガッツポーズをして喜んでいた。



「ん?」




なんでそこで喜ぶのか、理解出来ないでいる自分がいた。