クールで不器用な君。




朝、どこからか声が聞こえうっすらと目を開ける。



「……くんっ…七瀬くん!!」




「山瀬…さん?」



目の前には制服姿の山瀬さん。




あれ、今何時だっけ?




「もう8時20分だよ。遅刻しちゃうよ!」



もうそんな時間か。


でも………



「眠い、寝かせて。」




「ダメだよ!」




山瀬さんは、かけられた布団をガバッと奪う。



「ぬ…。」




低血圧の俺は朝に弱い




だからいつも遅刻しない程度に遅い時間に学校へ行っている。




仕方なく起き上ると、ご丁寧に山瀬さんがブラウスとズボンとベルト、あと靴下まで用意してくれていた。




「じゃあ私、先行くね。リビングにトーストあるからそれでも食べてきてね。あ、そうそうこれ合鍵ね?」




早い口調で喋る山瀬さんは、言うことだけ言うと合鍵を渡しそそくさと家を飛び出していった。




「まだ間に合うと思うんだけどな。」




ん?




いや、待てよ?




山瀬さんの家って俺の家より学校遠くないか?




やばっ。




ようやくそのことに気づき、俺は急いでベッドから飛び起きた。