翌日の昼休み。



「七瀬くん、ちょっといいかな?」



「いいけど。」



私は、七瀬くんを空き教室にに呼び出した。




わざわざ呼び出すのはいかがなものかとは思ったけれど、モノがモノだし……




教室で渡したりしたら、きっと七瀬くんのイメージがガタ落ちになるだろう。





「で、なに?」




「これなんだけど……」



制服のポケットから、昨日拾ったビーズの指輪を取り出し、七瀬くんに見せた。



「それっ……!」




目を見開く七瀬くんは驚いて居るようで、その光景は、いつも静かでクールな彼には珍しかった。




「これ、七瀬くんの?」




「そうだけど。」



やっぱりそうなんだ。



うん、教室で渡さなくてよかった。



はい、と手渡すと七瀬くんはそれをじっと眺めていた。



「大事な物なの?」



「まぁ。」



「そっか。」



誰かに貰ったのとかかな?



「……そうだ、ついでなんだけどさ、俺らが一緒に暮らすこと、秘密な?知れ渡ると面倒だし。」



「あ、うんっ。そうだね。」




二人だけの秘密だと思うと、ちょっぴり胸がドキドキと高鳴った。