憂鬱なソネット

あたしはぱちんと手を叩く。



そして、迷わず髪の中に手を突っ込み、大量のヘアピンで止められていたウィッグを取った。




「あぁ、せっかくきれいにしてもらったのに………」




お母さんが悲しそうな声を上げたけど、そんなことは今どうでもいい。



とにかく、今日の危機を乗り越えることが最優先。




「巧、これつけて! で、寅吉っぽくぼさぼさにして………」



「いててて………」



「あ、いい感じに顔も隠れるわね」



「これなら親戚にも気づかれないだろう」




お父さんが満足気に頷くと、巧は


「ほんとかよ………?」


と疑わしげに言った。




大丈夫じゃないかもしれないけど、もう、なんとかなると思うしかない!