憂鬱なソネット

式場の人が一礼して出て行ったあと、お父さんは巧の肩をがしりと掴んだ。




「…………巧」



「えっ、な、なに?」



「お前………新郎やれ!」




お父さんが何を言い出したのか分からなくて、全員がぽかんとした表情になる。



でも、お父さんは至極真剣だった。




「もう、それしか手がない。

お前が寅吉くんの代わりに新郎役をやるんだ」



「は、はぁっ!? なに言ってんだよ!」



「もう親族のみなさんも集まってるんだ、今さら『結婚式は中止です』だなんて言えるわけがないだろう!」



「えぇ〜っ!?」




巧が嫌そうに顔を歪める。


あたしだって同じだ。


いくらフリとはいえ、何が悲しくて弟と結婚式なんか挙げなきゃならないわけ?