夏にお見合いをして。



それから三ヶ月も音信不通だった寅吉が、ある秋の日、突然あたしの前に現れて、

『結婚してください』

とプロポーズしてきて。



冬も深まったクリスマスイブの夜、突然うちに訪ねてきて、あたしの親に、

『あやめさんを俺にください!』

と唐突に宣言したのだ。



もちろん、あたしも何も聞かされていなくて、心から驚いた。




そんなこんなで、あたしたちは今、このアパートで一緒に暮らしている。



寅吉はいないけど。


謎の書き置きとともに、ある日突然、姿を消したから。




「………あーあ、酒でも飲むか」




あたしは冷蔵庫のドアを開け、500mlの缶ビールを取り出した。



その場でプルを開け、立ったままでぐびっと半分ほど一気飲みする。



はしたないって?


いいんです、別に。


どうせ誰も見てないし。


それに、飲まずにはやってられない気分なのだ。