モテるんは俺の趣味やっ!

こない寒いのに、なに脱いでんねん。




あたしが不思議に思ってじっと見つめるていると。




たっちゃんは、さりげない動作で、脱いだジャケットをあたしの肩にかけてきた。





びっくりして、あたしは思わず硬直してしまう。






「え……っ、な、なにしとんねん」






なんとか動揺を抑えて、そう訊ねた。





今度はたっちゃんのほうが不思議そうに小首を傾げた。






「なにって………ミサキが寒そうやったからやん」





「そんなん、あんたかて寒いやろ」





「俺はええねん、中にけっこう着込んどるから」






たっちゃんがあっけらかんと笑う。




フェミニストたっちゃんお得意の、女の子懐柔策やな。




こんなん、あたし以外の女の子やったら、たぶんイチコロなんやろなぁ。






「………あたしにそんなんしても、通じひんで。



なんせあたしはラスボスやからな。


この程度の攻撃なんか、へっちゃらやで」