モテるんは俺の趣味やっ!

公園内に目を走らせると、あいにく、愛を囁き合うカップルたちで、ベンチは満席だった。





しょうがないので、あたしはブランコに腰かける。




たっちゃんも隣のブランコに座った。






「なぁミサキ」




「んー?」




「煙草、ええか?」




「ええよ、ちゅうかいっつもええて言うとんやん」




「まぁなぁ、でも確認すんのがエチケットいうもんやん」






たっちゃんはそう笑って、ジーンズのポケットから取り出したキャスターを一本くわえ、ライターで火をつけた。




ほんのりと甘い香りのする煙が漂う。






そう、たっちゃんは、実は愛煙家なのだ。




でも、みんなの前では絶対に吸わない。




あたしの前でしか吸わない。





理由はもちろん、




『煙草吸うと可愛がってもらわれへんし、女の子に嫌がられるから』




である。





あたしは、自分では吸わないけど、ヘビースモーカーの家庭で育ったので、べつに煙草に拒否感はない。




だからたっちゃんはあたしの前では遠慮なく煙草を吸うのだ。