モテるんは俺の趣味やっ!

「なに言うとん、ミサキ。


俺が言ったんちゃう、これ見てみぃ」







そう言って指差したたっちゃんの膝の上に、ちょこんと乗っているのは、真っ白な子猫。





自分の勘違いに、あたしはぷっと噴き出してしまう。






「………なんやねん、にゃあの犯人はお前か。

たばかったな、こやつ。


にしても、いつの間に?」






「知らん、気づいたら乗っとった」






「はぁ、よう人に慣れとんな」







たっちゃんはふふっと笑って子猫の首筋を撫でる。




子猫は心地よさそうに目を細め、ぐるぐる喉を鳴らした。






大学の構内には、けっこうたくさんの野良猫がうろついている。




学生たちが気まぐれに昼ごはんを分け与えてやったりするので、猫にとっては天国なのだろう。





それにしても、膝にまで乗ってくるのは珍しい。







「俺、昔から動物にもよう好かれんねん」





「はぁ、人だけでは飽き足らず、動物にまで愛されたがるとは………お見それしました」






「愛されて悪いことはないからなぁ」







たっちゃんはけろりと言い放った。






呆れて物も言えないけど、そろそろたっちゃんの言動にいちいち驚くことはなくなった。