モテるんは俺の趣味やっ!

「ミサキちゃーん。聞いたでー」






あたしが炭を箱から取り出していると、後ろからマノさんが話しかけてきた。






「聞いたて、何をですか?」





「ヤマモトから聞いてん。昨日、たっちゃんと二人でカラオケ行ったんやて?」





「あー……行きましたね」






もしかして、男女二人でカラオケなんて、とからかわれるのか。




あたしが内心、身構えていると。






「ずっこーい!!」





「えっ!?」






マノさんの叫びは、予想外の反応。




おまけに、軽く睨む仕草までしてくる。






「なっ、なにがずっこいんですか?」






あたしが驚いて訊ねると……。






「たっちゃんとカラオケ行くとか、ミサキちゃん、ずるいわ!!


俺もたっちゃんとカラオケ行きたいー、うらやましー!!」








…………なんやねんな。




マノさん、そんなにたっちゃん好きなん?





たっちゃんて、ほんま、見境なくモテようとするからなぁ。




マノさんも可哀相に、トイプードルの皮を被った猛獣の毒牙にかかってしまったわけだ。