部室内には、完全に定員オーバーな感じで、部員がぎゅうぎゅう詰めになっている。




椅子やソファーに無条件で座れるのは三回生だけ。



二回生は早い者勝ちだ。



残りの二回生と、一回生は、なんとかもたれかかれそうな固形物を見つけて浅く座るしかない。


ちなみにメジャーどころは、壊れて使われなくなったアンプやスピーカー、何年も前のOBが置いていってそのままになっているギターのハードケース、あるいはエフェクターケースなど。



どちらにせよ、ものすごく薄かったり細かったりして、長時間座るには心もとないものばかりだ。






今日は運良くソファーがまだ一人分空いていたので、あたしはカホの隣に腰を下ろした。




そして、喋ることもままならないので、先輩バンドの演奏に耳を傾ける。





………はー、やっぱり上手いわぁ。




バリバリのメタル。



ツインペダルのバスドラがガンッガン刻むリズムに、ゴリッゴリのベースラインが乗る。




激しくひずんだギターは、耳をつんざくような高音で、ピロピロと複雑なメロディを奏でる。




そして、ボーカルの大音量のシャウト。






あー、かっこええわぁ。




それに、一、二回生のバンドにはない、慣れた感じの一体感。



ほんま、あない難しい曲なのに、よう揃ってはるわ。





あたしらも、もっと真面目に練習せなあかんなぁ。






そんなことを考えてぼんやり頬杖をついていると。