ドアが開いた瞬間、ぶわっ、と轟音が外に溢れ出してくる。





入り口近くのソファにもたれていた数人が顔を上げた。




あたしのバンドメンバーだ。





「おはよーミサキ」





いちおうリーダーを名乗っている、ギターのセイジが軽く手を振ってくる。





「おはよ。 みんな早いな」




「マサキらと一緒に朝まで飲んどって、そのまま皆でガッコー来てん」




「ほー、さすが下宿生やな。相変わらず、ただれた生活しとるなぁ」





あたしは自宅から通学しているので、遅くまで飲んだくれたりはできない。



でも、下宿しているやつらは、ここぞとばかりに夜中まで、というか朝まで、遊びほうけているのだ。




まったく、親が知ったらどう思うかね。







ちなみに、以上の会話は全て口パクで交わされている。





狭い部室内で他のバンドが練習しているときは、マイクを通さない人間の声など、完全に掻き消されるからだ。







ベースのサクマと、ドラムのカホも、なにか口をぱくぱくさせているが、ちょっと離れているので、何を伝えたいのかは不明である。




しかたがないので、あたしは適当にこくこくと頷いて返した。