モテるんは俺の趣味やっ!

しかしまぁ、この、たっちゃんゆう男は。





おばちゃんから飴ちゃんもろーたり。



いきなり剣で襲いかかるふりされて、即座に斬られて倒れたふりしたり。





こんな、『芸人の語る大阪トークに出てくる大阪人』を、そのまんま体現したようなやつを、あたしはたっちゃんに出会うまで見たこともなかった。






そして、ここまで見て分かるように、たっちゃんは、異様なくらいにモテるのだ。




女の子にはもちろん、男友達にも。


先輩にも後輩にも。


商店街のおっちゃんおばちゃんにも、近所のガキんちょも。




まさに、老若男女すべてから、これでもか、と愛され、モテまくる。






ほんま、信じられへん男や。







「いやぁ、ちびっ子は元気でええなぁ」





たっちゃんは致命傷から立ち直ると、にこにこしながら、再び歩き出した。







「………あんた、疲れへんの?」






あたしは思わず、疑問に思ったことを正直に訊ねる。







「え? なにが?」






「いや、あんた、十歩かそこら歩いただけで、この有様やん。


あたしやったら、いちいち対応すんの疲れるから、もう商店街来んとこ、思ってまいそうやけど」