モテるんは俺の趣味やっ!

商店街に足を踏み入れると、いつものごとく、よく分からない妙なメロディの『石池商店街テーマソング』が流れている。






「♪いっしいっけ〜

いっしいっけ〜


ここはよ〜いとこ

いっちどは来てみぃ


みんなの石池〜商店街〜♪」







たっちゃんは楽しそうに石池商店街テーマソングを口ずさむ。





ほんま、一分も黙ってられへんやつや。






その声に気づいたのか、近くにいた紫ヘアーのマダムが振り返った。







「あらー、たっちゃんやないの」







たっちゃんは満面の笑みで手を振る。







「おばちゃん、おひさ!

元気しとる〜?」






「いやー、腰も悪いわ膝も悪いわ頭も悪いわ、さんざんやで」






「あかんやん!!

今度、俺がマッサージしたるわ!!」






「いややわー、たっちゃんにマッサージされたら心臓まで悪うなってまうわ」






「あっははー、おばちゃんさすがや、おもろすぎるわ!!」






「だてに大阪のおばちゃんやってへんで。

あ、飴ちゃんあげるわ、こっち来てみ」






「ほんま!? やったぁ」







おばちゃんは手提げ袋をがさごそ引っ掻きまわして、小さな巾着袋から飴玉を二つ取り出した。






「べっぴんさん連れとるやん、二人で仲良く食べぇ」






「おおきに、おばちゃん!」





「ありがとうございます」







あたしも頭を下げて飴ちゃんを頂いた。