モテるんは俺の趣味やっ!

そうして、気がついたら、一年半。




あたしたちは二十歳になり、大学二回生の秋を迎えている。






この南キャンパスで一番大きなメインストリートを彩る、眩しいほど黄色い銀杏並木を歩いてピロティに近づくと、人混みの中にたっちゃんがいるのが分かった。




たっちゃんは男の子にしては小柄なほうで、身長はたぶん、170cmあるかないかくらい。




でも、なんてゆーか、身にまとう雰囲気が、華やか。



だから、なんとなく目を引くのだ。





わりと真面目な感じの子が多い大学だから、髪を染めてる男子学生はほとんどいないので、たっちゃん自慢の『マシュマロブラウン』の明るい茶色の髪は目立つ。




白黒とかグレーの服を着る人が多い中で、たっちゃんはいっつも、青とか緑とかオレンジとかピンクとかのパステルカラーに身を包んでいて、それも周囲から浮いてる原因だろう。




たっちゃんに言わせれば、それが『いちばん俺が可愛く見える色』なんだそうだが、それもどないやねん、とは思うけど、まぁ待ち合わせのときには便利やな。





今日のたっちゃんも、いつものように、華やかな色彩をまとっていた。



真っ白なTシャツに、パステルピンクのスキニージーンズ、そして鮮やかなビビットブルーの薄手のカーディガンを羽織り、仕上げに淡いイエローのストールをふんわりと巻きつけている。






やっぱ、見つけやすいわぁ。