モテるんは俺の趣味やっ!

持ち時間25分をめいっぱい使って、4曲を演奏し終えると、あたしたちは歓声に手を振って応えながら、ステージを降りた。






「あーっ、楽しかったぁ!」






カホがにこにこしながらあたしに抱きついてくる。






「やっぱミサキの歌は最高やわ」





「どーも。カホのドラムも冴えてたで」





「ありがと!!」







マイペースなサクマはベースを投げ出し、「疲れた………」とつぶやいて芝生の上に寝転んだ。





几帳面なセイジは、ギターの弦を布で丹念に拭き、ケースにしまっている。






あたしは大きく深呼吸をして、ステージ裏に腰を下ろした。






そのとき、頬のあたりにひやりと冷たいものが当たって、あたしは「わっ」と声を上げる。





びっくりして振り向くと、視線の先に、にやっと笑うたっちゃんの顔があった。