モテるんは俺の趣味やっ!

俯いて考え込むあたしの耳に、くっ、と笑うヤマモトさんの声が落ちてきた。






「………その話、たっちゃんから聞いたときの俺の気持ち、分かるか?」






見上げると、どこか苦しそうな、苦い微笑みを浮かべたヤマモトさんの顔が目に入った。






「ちょうどな、ミサキと付き合いだして一ヶ月近く経ったころやってん。


ほんで、なんやろなぁ、うまくいってへんてわけでもないのに、なんやミサキがいまいち腹割ってくれてへんちゅうか、微妙な感じするんはなんでなんやろ、思うとった時期やって。



そんで、そのたっちゃんの話や。


あぁ、もしかして、ミサキはそういう子ぉなんかな、て妙に納得してん」






「…………はい」






まさかヤマモトさんがそんなふうに思っていたとは予想外だったけど。




心当たりは十分にあったので、あたしはこくりと頷く。







「今思えば、たっちゃんのその読みは当たっとったんやて思うわ。


………ほんま、たっちゃんには、かなんなぁ」







ーーーそうや、とあたしも思った。




ほんとに、たっちゃんには、かなわない。





あんなにも敏感に、周囲の人の微妙な感情の波を読み取る人は、会ったことがない。