モテるんは俺の趣味やっ!

人生最大級の狼狽と闘っているあたしをよそに、ヤマモトさんが話しはじめた。







「ちょうど、俺とミサキが付き合うとった頃で、まあ別れるちょっと前なんやけどな。


たっちゃん、そんなん全く知らんから、俺に打ち明けてきてん。



なんや、新歓バーベキューで会うたときから、ミサキのこと気になっとったんやて」






「えぇ………バーベキューとか……ほんまに初対面やん」





「ま、一目惚れゆうやつなんやろ」





ヤマモトさんはさらりと言ったけど、そんなの、にわかには信じがたい。




だって、あたしはあの時、自己紹介をするたっちゃんがあんまりにもあほくさいから、『こいつはあかん、仲良うなられへん』と確信していたのだ。




なんでも顔に出てしまうあたしのことだから、たっちゃんのお花畑ぶりにドン引きしていた気持ちは、誰の目にも明らかだったに違いない。





そんなふうに、無愛想な仏頂面でたっちゃんを見ていたあたしに、一目惚れ?








―――――ないないない!!




やっぱ、ありえへんって!!!