モテるんは俺の趣味やっ!

そんなことを考えながらぼうっとしていると、後ろからつんつんと肩を突つかれた。




ぱっと振り向くと、カホがあたしの前を指差している。




顔を上げると、ヤマモトさんが手を挙げていた。




そして、ちょいちょいと手招きをする。





あたしは頷いてヘッドホンを外し、立ち上がった。






「忙しいとこ悪いな、ミサキ。


ちょお、付き合うてくれへん?」





「あ、いえ、大丈夫です」






歩き始めたヤマモトさんの後を追って、あたしも歩き出した。






ヤマモトさんはステージから少し離れたところにある、ひと気のない講義棟の裏に入っていく。





なんや人に聞かれとうない話なんやな、とあたしは思った。







「ーーーここなら誰も来ぉへんかな」






ヤマモトさんは独り言のように呟いて、建物の壁にもたれる。





あたしもその隣にもたれかかった。