モテるんは俺の趣味やっ!

あたしが俯いて音楽に没頭していると、視界の隅に、男もののブーツがちらりとうつった。




顔を上げると、キジマさんが立っている。



あたしは慌ててヘッドホンを外し、キジマさんに挨拶した。




キジマさんは小さく頷いてから、





「先週は、ほんまにすまんかったな。


俺、酒入るとほんまに無神経なってもぉて………酔い醒めてからむっちゃ反省してん。


ヨシキにもどえらい怒られたし、今後は酒控えるようにするわ………」





「いえ、そんなん全然ええんです。

謝らんといてください。


逆に気ぃつかわせてもぉて、こっちこそすんませんでした」






キジマさんは微笑んで、三回生の輪の中に戻っていた。






あたしたちのやりとりを聞いていたセイジとカホが、不思議そうに首を傾げている。





「先週て、飲み会んとき?


キジマさんとなんかあったん?」





「いや、なんでもないねん。


気にせんといて」





「ふぅん………」