「おー、ミサキ。おはようさん」




「どーも、おはようございます」





いち早く気づいて声をかけてくれたヨシキさんに会釈をして、あたしは自分のバンド仲間のところへ向かう。





といっても、寝坊魔で遅刻魔のタクマは、まだ来ていない。




ギターのチューニングをしているセイジと、持ち込みのスネアを叩いてリズムをとっているカホに声をかけ、あたしは腰を下ろした。






「ミサキ、声の調子は万全?」





カホがスティックを器用に回しながら訊いてくる。






「んー、昨日はよ寝たし、大丈夫」




「そかー。ライブがんばろな」




「んー」




「緊張しとる?」




「まぁ、ちょっとはな」




「ちょっとなん?

私はむっちゃ緊張しとるわ!

もー、学部の子ぉとかに見られたらどないしょお思て、心臓ばっくばくや!」





「いつも通りやれば大丈夫やて。

観客はかぼちゃや思て、な!」





チューニングを終えたセイジが顔を上げ、あたしに向かって口を開く。






「ミサキー、たっちゃんは?」