モテるんは俺の趣味やっ!

あたしはふぅ、と息を吐いて、もう一度口を開く。






「なんや、おかしぃなぁ。


喋っとるうちに、自分でも、えらいつまらん、くだらんこと言うているような気ぃしてきたわ。



だって、あたしは別に、殴られたわけでも、死ぬほどひどい言葉で罵られたわけでも、なんでもないのに。


こないつまらんことで傷ついて、それを弱みやと思て、臆病になっとったんが、えらい恥ずかしい気ぃするわ。



そないな話、ぜんぜん大したことないやん、もっとつらい思いしとる人たくさんおんで、て言われそうやな」







すると、たっちゃんが「それはちゃう」ときっぱり言った。




たっちゃんに目を向けると、さっきまでのような、険しい表情になっている。







「ミサキがそいつに言われたことは、殴ったり罵ったりすんのと同んなじくらいひどいことや。


せやから、それに傷ついたんは、弱くもなんともない。


当たり前のことや」






「…………うん」






あたしは素直に頷いた。




つまらないことでくよくよしている自分が大嫌いだったけど、たっちゃんの目には、当たり前のことだと映るのだ。





それは、ものすごく、心が溶けそうなくらい、あったかいことだと思えた。