モテるんは俺の趣味やっ!

「あんなん、ただ蜂に刺されたようなもんやん、て自分に言い聞かせてんけど、やっぱり、痛いところ突かれた思たから。



なんべんも思い出して、泣きそうなって、そのたびに、我ながらどんだけデリケートやねん、どんだけ弱いねん、て情けのうなってな」






「………そんなん、しゃあないやん。


そないひどいこと言われたら、誰でも傷つくて」






「そぉやろか………」





「そぉやって!」






たっちゃんは自信満々に大きく頷いた。






「ま、とにかくな。


あたしは、自分でも嫌んなるくらいその言葉を気にしとって。


結局、高校のあいだは誰とも付き合わへんかってん。



ほんで、大学生なって………ヤマモトさんに告られて。


自分でも、過去ばっか見とる自分が嫌やったから、ヤマモトさんやったら思て、付き合い出して。



………せやけど、付き合うとるあいだ、あいつが言うたことが、なんべんもなんべんも頭よぎって。



いつ嫌われるんやろ、いつ飽きられるんやろて、そんなんばっか考えるようなってもぉて。



………あんまり苦しかったから、結局、自分から別れたいて言うた。


ほんで、ヤマモトさんとは、おしまい」







そこまで話してしまうと、少しすっきりして、あたしは大きく伸びをした。





今まで気づかんかったけど、澄みきった夜空にきれいな月が浮かんでいた。