モテるんは俺の趣味やっ!

話しながら、当時のことを思い出す。





付き合いだしたころも、周りにはそのことを言っていなかったし、クラスの中でもほとんど話したりしなかった。




廊下ですれ違ったりするときも、わざと目を合わせないようにして、二人で会うときだけ会話するような感じ。





あんまり連絡をとらなくなったころには、お互いになるべく近寄らないような空気になっていたけど、はたから見たらそれ以前と何かが違っていることさえ分からなかったと思う。





そういう、微妙に気まずい期間があって。






「ある日な、たまたま、見てしもうてん。



図書館行こー思て、電車に乗ったときな。


ちょうど同じ車両に、そいつが女の子と手ぇつないで乗っとってん。


二年なってから同じクラスなった子ぉや」






「はぁ、そらまた………バッドタイミングやなぁ」






「ほんまやで。どんな巡り合わせやねん、思たわ。


せやけど、あたしは別に、ショックもなんも受けへんかった。


あー、まぁそうなるわなー、くらいにしか思わへんかった」






「………強いな、ミサキ」







たっちゃんが感心したように言うので、あたしは首を横に振った。







「ちゃうねん、強いとかやないねん。


あたしはべつに、そいつのこと、なんとも思うてへんかったんや。


だから、連絡けえへんくても、他の女の子と手ぇつないどっても、なんも感じんかってん」