モテるんは俺の趣味やっ!

再び、奇妙な沈黙が流れる。




あたしは缶コーヒーを一口飲んで、たっちゃんと同じように、夜風に微かに揺れる赤ちょうちんを見つめた。





わたあめがごろごろと喉を鳴らしはじめたので、ちらりとそっちを見ると、ふわふわの頭をたっちゃんが優しく撫でていた。





しばらくして、たっちゃんがおもむろに口を開く。






「………あかん。煙草吸うてええ?」





「…………どーぞ」






たっちゃんはわたあめをあたしの膝の上に移動させ、煙草に火をつけた。





一服してから、「あ」と声を上げる。






「なんやねんな、せわしいやっちゃな」






「………俺が煙草吸うても平気やったんは………」






「え?」







なになに、なんの話?




あたしが首を傾げると、たっちゃんは少し困ったような表情で、あたしのほうを見て言った。







「ミサキが煙草いやがらへんのは、ヤマモトさんで慣れとったからなんやな」







深刻な声音でたっちゃんがそんなことを言うので、急に可笑しくなって、あたしはぷっと噴き出した。