モテるんは俺の趣味やっ!

あたしは全身の力が抜けてしまうのを感じた。






そのとき、キジマさんが「うっ!?」と呻いて、前につんのめった。




つられてあたしもよろける。





何事か、と後ろを振り返ると。






「…………え? なんやて……?」





小さく呟いたたっちゃんが、目を丸くして立ち止まっていた。






「………キジマさん、いま、なんて言いはりました?


ヨリ、戻すて………?」






ーーーーーあぁ、あかん。




やっぱり、たっちゃんにも聞こえてしもうたんや。







とはいえ、諦めるにはまだ早い。




今ならまだ、なんとか誤魔化せるはず。







「たっちゃん、なに言うとんの?


そんなんキジマさん言うてへんで?


なんや聞き間違えたんやろ」






「…………」






「たっちゃんもけっこう飲んどったしな。


酔っぱらってんちゃうかーあははー」






「……………」







たっちゃんは何も言わず、まっすぐにあたしを見つめている。





あまりにもまっすぐで、心の奥底まで見透かされているような気がした。





それで、あたしはそれ以上、なにも言えなくなってしまった。