モテるんは俺の趣味やっ!

狭い路地で、居酒屋の看板や路駐の自転車にぶつかりそうになりながら、ゆっくりと歩いていく。




横を通り過ぎていくフォークソング愛好会の部員が、「がんばり!」「もおちょいやで!」と励ましの声をかけていく。






しばらく歩いたところで、キジマさんがはっと我に返った。






「………おー、たっちゃん、ミサキ。


えらいすまんなぁ………」






たっちゃんがにこっと笑って、首を横に振る。






「いえいえ。キジマさん、気持ち悪いとかないですか?」






「あー、大丈夫や。足腰たたんだけや」





「二次会行って平気ですか?」





「一人だけ帰るとか、さみしすぎるわ!」





「あははっ。でもまぁ、飲み過ぎんといてくださいよ?」





「おー、分かった」






そこまで言って、キジマさんは今度はあたしのほうを見る。






「…………なぁ、ミサキ」





「はい、なんですか?」





「さっき、ヤマモトと飲んどったなぁ」





「えっ、あ、はい………」






いきなりヤマモトさんの名前が出たので、あたしは少し動揺してしまう。




それに気づいたのか、たっちゃんがあたしの顔をじっと見てきた。