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『お好み焼き ささき』に近づくと、入り組んだ狭い路地にある店の前に、フォークソング愛好会ご一行がたむろしていた。
部員たちが乗って来たらしい自転車や原付が道の両側に所狭しと並んでいて、隙間は人ひとり通るのがやっと、という感じだ。
「うわ、せまぁ」
「ま、しゃあないやろ」
あたしとたっちゃんは一列になって、その合間を慎重に通り抜けていく。
「こんなん、いくらなんでも迷惑やわ。
近隣の人から苦情くるんやないやろか」
「せやなぁ」
「なに呑気な返事しとんねん。
そうなったらたっちゃんの出番やで」
「え、俺が謝りいくん?」
「せや、その無駄な愛されスキル、たまには有効活用して、なんとかお許しもらわな」
「なんでやねん、俺の抜群の愛されスキルはいつでもどこでも有効活用しとんで」
「そら、あんたにとっては有効かも知らんけど。
たまには社会に役立てんかい」
「えー、俺の可愛さは、どない考えても世界を平和にしとると思うねんけど」
「どんだけ規模でかいねん」
そんなくだらなすぎる言い合いをしていると。



