モテるんは俺の趣味やっ!

「もうちょいトレブル上げる?」




「いや……これ以上やったら、きんきんなるやろ」




「ひずみすぎてるんちゃうか?」




「そうやろか、そうでもない気ぃする」




「アンプのゲイン上げてみてや」




「トーン絞りすぎてんちゃう」




「ディストーション外してオーバードライブにしてみよか」




「俺のイコライザー貸したろか」




「……んー、いまいちやな」





ーーーそんなこんなで大騒動を起こしつつ、たっちゃんはなんとか8割くらいは満足のいく音づくりができたらしく、やっとのことで練習が始まった。





なぜ8割かというと、とうとう堪えきれなくなったあたしが、「はよ練習はじめんかいっ!!」と怒鳴ったからである。






ほんまに、しょうもないやつらや。







「まぁ、じゃっかん明るさが足りひんけど、しゃあない。


曲合わせ始めよか」






リーダーのワタナベが言うと、たっちゃんはこくこくと頷いて、マイクに向かった。