モテるんは俺の趣味やっ!

「ううう、なんでなんやろ、どないしてもうたんやろ、俺……。


いつもの音が出されへん!」







たっちゃんはこの世の終わりみたいに嘆き悲しんでいる。







「明るくて……からっとしとって……クリアーな……『たっちゃんの音』が……。


アンプいじっても、エフェクターいじっても、ギターいじっても、なにしても鳴ってくれへんねん。



あぁ、俺、もうあかん………」







そのさまを見て、メンバーたちも悲痛な面持ちになる。







「たっちゃん!!」






「待て、たっちゃん!!


俺らがなんとかしたる!!」






「せやせや、俺らを信じて待っとれ!!」







たっちゃんバンドのメンバーたちは、半べそ状態で呆然と佇むたっちゃんに群がり、ぎゃあぎゃあと騒ぎながらアンプやエフェクターを触りはじめた。







…………さっぱり、わやや。




あたしは両手で頬杖をついて、たっちゃんバンドのてんやわんやを傍観した。