モテるんは俺の趣味やっ!

「あー、残念やなぁ、残念すぎるわ!


せっかく先輩がたに声かけてもろたんに、行かれへんなんて。


あー、ほんま、残念や………」







たっちゃんは今にも泣き出しそうな声で嘆く。





たっちゃんのすごいところは、さっきみたいな対応が、お世辞や社交辞令のかけらもない本気の態度でできるところだ。





用事があるのに誘われて断るときって、だいたいの人は、「残念だけど用事が……」と言いつつ、本心ではさほど残念などと思っていないのが普通だと思う。





もちろんあたしもそう。



あたしの場合は社交辞令さえもなく、「あー用事あんねん、無理や」と一刀両断してしまう。






でも、たっちゃんは、先輩たちが去った後でも、まだ残念そうなのだ。






まぁ、その残念さの理由は、





「ぅあー、先輩らに可愛がってもらえるはずやったのに、無念!!」





なわけだが。






「たっちゃーん、バン練はじめんでー」





「あっ、すまん、すぐ行く!!」






バンドメンバーに呼ばれたたっちゃんは、ぴょこんと立ち上がった。