モテるんは俺の趣味やっ!

ほんで、今日はどこのグループに付き合うんかいな、とあたしが様子を窺っていると。







「あー、ほんっま、すんません!!」







たっちゃんは顔の前で両手を合わせて、心底申し訳なさそうに叫んだ。






「俺ら、今からバン練なんですわ!!


飲み会の直前まで練習するつもりなんで、せっかく誘ってもろたんですけど、行かれへんわ………」







たっちゃんが悲しそうに言うので、誘いをかけた人たちがあたふたとフォローを始める。







「そんなん、ええて!」




「謝らんといて!!」




「バン練入っとるんやったらしゃあないやん!!」




「たっちゃんは悪いことあらへん、時間の神が意地悪しただけや!!」






なんやねん、時間の神の意地悪て。




たっちゃん教の信者たちの迷信ぶりには、つくづく驚かされる。





あたしは呆然として成り行きを見守っていた。







「すんません!」「ええってええって!」「ほんますんません!!」「気にせんといて!」というやりとりがしばらく続いたあと、先輩たちは部室を出て行った。