「ほな、他の人らは、なんて言うてはるん?」





「そら、アイスコーヒー、ちゃう?」





「えー、ほんなら注文んとき、いちいち『アイスコーヒーひとつー』て言うん?

そんなん、めんどいやろ!!

『レイコーひとつー』て楽やん!!」





「知らんがな。あたしかて冷コー派やわ」





「やんなぁ?」






たっちゃんは満足気にこくこくと頷いた。






「せやけど、確かに全国ネットのテレビ出てはる人は、アイスコーヒーて言うとる気ぃすんなぁ」





「俺、あんなんテレビやからわざわざ正式名称で言うてはるんやと思うとったわ」





「なぁ。東京の人らは大阪人みたいにイラチやないから、めんどいとか思うてへんのやろな」





「びっくりやわぁ。


ほんなら、東京の人らには、冷コー言うてレイコちゃんが振り向くっちゅうギャグは通じひんのやな」






そんなあほなことを言っているたっちゃんを見ながら、あたしは話題転換が上手くいったことに少しほっとして、コーヒーをすすった。