モテるんは俺の趣味やっ!

そんなことを考えてぼんやりしていると。






「ミサキ、どないしたん?


そないじぃと見てきて」






たっちゃんが首を傾げて、ぐいっと顔を近づけてきた。



大きな黒縁めがねが急接近してきたので、あたしは、はっと我に帰る。





考えごとをしている間、たっちゃんの顔を凝視してしまっていた。






「あ、いや、ちょっと………えーと、そーいやな、おんなし学科の、東京出身の子ぉが言うててんけど」






思考していた内容的に、たっちゃんに知られるのは照れくさい。




そのとき、たっちゃんの前に置かれた、汗をかいたコーヒーのグラスを見て、ある話を思い出し、あたしは咄嗟に話題を変えることにした。




たっちゃんが目をぱちぱちさせながら、「ん?」と先を促す。






「あんな、関西以外ではな、冷コーて言わへんのやて」





「えっ!? そおなん!?」






寝耳に水でもかけられたように、たっちゃんが大きく目を見開く。